Technology どんな技術の会社?

東北大学 大学院工学研究科 西澤 松彦教授の実践的な研究である
独自の生体イオントロニクス技術を基盤とする技術を応用
生体-デバイス間の親和性をメカニズムレベルで向上させるために必要とされる、マルチな情報エネルギー変換(電子⇔イオン⇔流れ⇔分子)を制御するイオントロニクス技術

イオントロニクス|iontoronicsとは?
生体イオントロニクスとは、「イオン」と「エレクトロニクス(電子工学)」を組み合わせた学際的技術分野です。この技術は生体内に存在するイオンの挙動を電子技術と融合させ、新たな機能性デバイスを実現します。従来のエレクトロニクスが電子の流れを制御するのに対し、生体イオントロニクスではイオンの移動や分布を精密に制御・検出します。電気化学反応、イオン選択性膜、電気浸透流などの原理を応用し、生体親和性の高い材料と組み合わせることで、従来の医療技術では困難だった課題を解決する新しいアプローチを可能にします。この技術により、薬物の経皮送達効率の向上、生体信号の高感度検出、生体由来物質を利用した発電など、次世代の医療・ヘルスケアシステムの基盤となるイノベーションが実現します。
人体に必要不可欠なイオンと生体メカニズム
人体の60%は水分(体液)で構成されており、その中には水に溶けると電気を流す「イオン(電解質)」が含まれています。このイオンの世界は、目に見えない小さな宇宙のように、私たちの体の中で絶え間なく活動しています。
朝、目を覚ますと同時に、あなたの脳内ではナトリウムイオンとカリウムイオンが細胞膜を通過する精妙な交換が始まります。これらのイオンは神経細胞の電気信号を生み出し、「起きよう」という命令を体中に送ります。筋肉がその信号を受け取ると、カルシウムイオンが筋細胞内に流入し、筋繊維を動かして体を起こします。
食事をすると、胃の壁細胞から放出された水素イオンが胃液の酸性度を高め、食物を分解します。同時に、骨からはカルシウムイオンが微量に血中に放出され、血液凝固や酵素活性の調節といった目に見えない生化学的プロセスに関与します。
1日を通して、あなたが呼吸するたび、心臓が鼓動するたび、考えを巡らせるたび、体内のイオンが協調的に働いています。運動中に汗をかくと、ナトリウムやカリウムといった重要な電解質が失われますが、体は渇きを感じさせることで水分とイオンの補給を促します。
夜になると、脳内のイオンバランスが変化し、睡眠ホルモンの分泌を促進します。横になって休んでいる間も、カルシウムイオンは骨の再構築を助け、マグネシウムイオンは、細胞の修復や再生に貢献しています。

このようにイオンは目には見えませんが、私たちの存在の基盤となっています。特定のイオンバランスが崩れると、筋肉の痙攣や疲労感、不整脈といった症状が現れることがあります。私たちの体内の電解質バランスは日々の食事や運動量で変動するため、バランスの取れた食生活と適切な水分摂取が重要です。
生体イオントロニクス技術は、このイオンの流れに着目し、新たな医療・ヘルスケア手法の開発を可能にする革新的な分野として注目されています。私たちの体内で常に流れ続けるイオンの動きを科学の力で解き明かし、活用していくことが、健康長寿への鍵となるのです。